文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

G・ガルシア=マルケス『わが悲しき娼婦たちの思い出』

G・ガルシア=マルケス 木村榮一

『わが悲しき娼婦たちの思い出』 新潮社

 

G・ガルシア=マルケス(1928-2014)の『わが悲しき娼婦たちの思い出』を読了しました。2004年に発表されたガルシア=マルケスの最後の小説作品です。長編作品というにはあまりに短く、本書邦訳のページ数は本文で127ページ。巻頭には川端康成の『眠れる美女』がエピグラフとして置かれており、遠く離れた国のノーベル賞作家からの影響が垣間見えるのですが、訳者である木村氏の解説では『コレラの時代の愛』に登場した少女アメリカの救済の物語として本書を読み解いています。私はガルシア=マルケスらしい悲しい物語と受け止めました。

 

講演集と自伝を除いて新潮社から刊行されたガルシア=マルケスの全小説を読み切ることとなりました。これ以上新しい作品を読むことができないのは、本当に残念なのですが、またそれぞれの作品を折に触れて読み返してみたいと思います。

 

【満足度】★★★★☆