文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ジョン・ロック『統治二論』

ジョン・ロック 加藤節訳

『統治二論』 岩波文庫

 

ジョン・ロック(1632-1704)の『統治二論』を読了しました。ロックの政治哲学上の主著といえる作品で、文字通り「統治(government)」に関する二つの論考が収録されています。

 

「統治について」と題された前篇では、聖書におけるアダムの記述を詳細に引きながらロバート・フィルマーが唱える王権神授説への丁寧な反駁がなされます。このあたりの論述のスタイルは『人間知性論』におけるそれを思わせるものになっていて、まさにロックの真骨頂という印象です。そして「政治的統治について」と題された後篇では、社会契約による政治的統治の成立と革命権を含めたその委細について詳述されます。こちらはどちらかというと論争的というよりは、体系的な論述が目に付きます。

 

【満足度】★★★★☆