ホフマンスタール 檜山哲彦訳
『チャンドス卿の手紙 他十篇』 岩波文庫
ホフマンスタール(1874-1929)の『チャンドス卿の手紙 他十篇』を読了しました。世紀末ウィーンを代表する作家のひとりですが、私自身についていえば今回が初めての読書となります。19世紀末といえば、ヨーロッパ精神(と呼ぶべきものがあるとすれば)が大きく変化する時代であったと思うのですが、表題作である「チャンドス卿の手紙」は、まさにその文化の危機といったものを主題に据えて、理知的な文章を用いてその苦悩が紡がれています。
経時的に作品を読むことで多くの気付きが得られる作家ではないかと思うのですが、私にそうした読書の機会はあるのでしょうか。
【満足度】★★★☆☆