文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ゾラ『ナナ』

ゾラ 川口篤・古賀照一訳 『ナナ』 新潮文庫 19世紀後半に活躍したフランスの作家・ゾラ(1840-1902)の『ナナ』を読了。以前にゾラの『居酒屋』を読んで、公衆浴場だったか洗濯場だったか、裸同士の女性が殴り合いの喧嘩をする場面の描写を読んで、それまで…

ジョン・アップダイク『同じ一つのドア』

ジョン・アップダイク 宮本陽吉訳 『同じ一つのドア』 新潮文庫 ジョン・アップダイクは読みたい/読まなきゃと思いながら、ずっと読むことがないままだった作家のひとり。大学の先生がアップダイクのことをえらく褒めていて、その頃にはまだ白水Uブックスの…

『対訳 シェイクスピア詩集―イギリス詩人選(1)』

柴田稔彦編 『対訳 シェイクスピア詩集―イギリス詩人選(1)』 岩波文庫 『リア王』、『ハムレット』、『マクベス』をはじめとした数々の戯曲で知られるシェイクスピアの詩作を紹介する選集。『ソネット集』からセレクトされたソネットに、劇中歌として登場…

マーク・トウェイン『ジム・スマイリーの跳び蛙』

マーク・トウェイン 柴田元幸訳 『ジム・スマイリーの跳び蛙』 新潮文庫 最近『ハックルベリー・フィンの冒けん』を翻訳した柴田さんによるマーク・トウェインの短編選集。有名な『トム・ソーヤーの冒険』も柴田さんの翻訳で最近読んだのですが、この不思議…

セルバンテス『ドン・キホーテ 後篇』

セルバンテス 牛島信明訳 『ドン・キホーテ 後篇』 岩波文庫 世紀の傑作と謳われる超有名作品。このブログを書き始める前に、既に前篇については読了していました。スペインの作家・セルバンテスの書いた『ドン・キホーテ』はありとあらゆる後世の文学者に影…

レベッカ・ブラウン『体の贈り物』

レベッカ・ブラウン 柴田元幸訳 『体の贈り物』 新潮文庫 現代アメリカの作家であるレベッカ・ブランの『体の贈り物』を読了。11の作品からなる連作短編小説集で、1作あたりは日本語の文庫本で15〜30ページほどとかなり短い。仕事を終えた一日の隙間で、一気…

ジェームズ・M・バリー『ピーター・パンの冒険』

ジェームズ・M・バリー 大久保寛訳 『ピーター・パンの冒険』 新潮文庫 新潮文庫で海外文学の新訳が続いていて、そのせいもあって普段はあまり手に取らなさそうな作品についても、まあ読んでみようかなという気分になって、本書『ピーター・パンの冒険』もそ…

レイモンド・カーヴァー『大聖堂』

レイモンド・カーヴァー 村上春樹訳 『大聖堂』 中央公論新社 レイモンド・カーヴァー全集の第3巻。高校時代に村上春樹を読んでいたときに、レイモンド・カーヴァーのことも知って、中公文庫で何冊かの作品を読みました。大学時代にはいくつかの短編を英語で…

クセノポン『アナバシス』

クセノポン 松平千秋訳 『アナバシス―敵中横断6000キロ―』 岩波文庫 おもしろいとは聞いていたのですが、本書『アナバシス』、予想以上におもしろく読むことができました。小説というよりはむしろ迫真のドキュメンタリーといった方が正確なのでしょうか。200…

ユゴー『ノートル=ダム・ド・パリ』

ユゴー 辻昶・松下和則訳 『ノートル=ダム・ド・パリ』 岩波文庫 フランス・ロマン主義を代表する作家であるヴィクトル・ユゴーの作品。昔々、赤川次郎の三毛猫ホームズシリーズのどの作品だったかで、本書に登場するカジモドの名にちなんだ「梶本」(梶元だ…

ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』

ジュンパ・ラヒリ 小川高義訳 『停電の夜に』 新潮文庫 学生時代だったか、新潮クレストブックで出た頃に読んで、今回何年ぶりかに文庫で再読となりました。表題作のラストで主人公の男性が妻に打ち明ける話の展開に、あっと言わされてしまったことをよく覚…

マリオ・バルガス=リョサ『都会と犬ども』

マリオ・バルガス=リョサ 杉山晃訳 『都会と犬ども』 新潮社 ペルーの作家であるバルガス=リョサの『都会と犬ども』を読了。バルガス=リョサ(「ジョサ」という表記も見かけますが、どちらが市民権を得るのでしょうか)の作品を読むのはこれが初めて。月並み…

トルーマン・カポーティ『夜の樹』

トルーマン・カポーティ 川本三郎訳 『夜の樹』 新潮文庫 前回の記事『嵐が丘』と同じく、高校時代だったか大学時代だったか忘れてしまったのですが、本書『夜の樹』も今回が再読になります。「ミリアム」は特に記憶に残っている作品でしたが、今回あらため…

エミリー・ブロンテ『嵐が丘』

エミリー・ブロンテ 河島弘美訳 『嵐が丘』 岩波文庫 『嵐が丘』は中学か高校の頃に角川文庫で読んだ記憶があるのですが、そのときの感想はたしか「何かよく解らない話だな」というものでした。とにかく登場人物の誰にも感情移入できなくて、主人公らしきヒ…

オルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』

オルダス・ハクスリー 大森望訳 『すばらしい新世界[新訳版]』 ハヤカワ文庫 光文社からも新訳の文庫が出ていた『すばらしい新世界』ですが、私はハヤカワ文庫で読了しました。「ディストピア小説の名作」と銘打たれた帯には伊坂幸太郎さんの推薦文も載っ…

スタンダール『パルムの僧院』

スタンダール 生島遼一訳 『パルムの僧院』 岩波文庫 東京出張中に移動の新幹線やホテルで読んでいた本。スタンダールを読むのは学生時代に読んだ『赤と黒』以来のこと。あまり予備知識なく取り掛かったので、読み始めたときは戦争の描写に面白さを感じなが…

ジョン・アーヴィング『158ポンドの結婚』

ジョン・アーヴィング 斎藤数衛訳 『158ポンドの結婚』 新潮文庫 ジョン・アーヴィングの本を初めて読んだのは大学一回生のときで、それは彼の最初の長編である『熊を放つ』だったと記憶しています。冬の雪の寒さに耐えきれずに下宿を出て、大学図書館の二階…