ジェイムズ・ジョイス 丸谷才一・永川玲二・高松雄一訳
ジェイムズ・ジョイス(1882-1941)の『ユリシーズ』を読了しました。ようやくのことで読み切ることができました。年末頃から読み始めていたのですが、分冊の三巻あたり(第15挿話のあたりですね)で停滞しながらも、ゴールデンウィーク中に読み終えることになりました。「読んだ」というよりは「目を通した」という表現の方が正しいのかもしれませんが…。
かの有名な「計画表(スキーマ)」や各挿話の冒頭に訳者によってインサートされた場所、時刻や登場人物についての解説などを頼りにしなければ、小説の中で一体何が起こっているのかすらも掴むことが困難な作品ですが、ストーリーを楽しむというよりは文体や文学的実験の見本市のようなものとして眺めるのが良いのかもしれないと、本書を読み進めながら感じていました。ところどころ面白いエピソードも起こるのですが、それだけを楽しんでいてはこの長大で奇妙な小説の波に乗ることはできないのでしょう。
本書をまたいつかあらためて読むことはあるのでしょうか。あらためて読んでこその作品という気もするのですが。
【満足度】★★★★☆