文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

コリン・ウィルソン『宇宙ヴァンパイアー』

コリン・ウィルソン 中村保男訳

『宇宙ヴァンパイアー』 新潮文庫

 

コリン・ウィルソン(1931-2013)の『宇宙ヴァンパイアー』を読了しました。新潮文庫の「村上柴田翻訳堂」シリーズの一冊として復刊されたもので、元本は1977年の刊行です。今回の復刊セレクションにあたっては、村上氏と柴田氏による巻末の「解説セッション」によれば、村上さんが本作を選んだということのようです。

 

「ゴシック風・スペースホラー」と謡われたSF作品なのですが、ヴァンパイアーの在り方そのものを巡って人類の生殖や存在論倫理学が語られ、それこそが本書の真骨頂なのだろうと思います。ただ、その薀蓄や思想的な部分にうまく入り込めなかった私は、ただただ読み進めるのを苦痛に感じてしまうのでした。私にしては珍しく、コリン・ウィルソンの他の作品もあまり読んでみようという気にならず、果たしていつかリベンジ(?)の機会が訪れることはあるのでしょうか。

 

【満足度】★★☆☆☆