文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ジョージ・ソーンダーズ『短くて恐ろしいフィルの時代』

ジョージ・ソーンダーズ 岸本佐知子

『短くて恐ろしいフィルの時代』 河出文庫

 

ジョージ・ソーンダーズ(1958-)の『短くて恐ろしいフィルの時代』を読了しました。ブッカー賞作家であるソーンダーズの作品を読むのは本書で三冊目となります。タイトルにも示されているように短めの小説で、寓話的な作品ということもあって、するりと読むことができるのですが、内容はといえば現在の時代性も相まっていろいろと考えさせられるというか、背筋に冷たいものを覚えてしまう物語になっています。

 

一人の信念に裏付けられた悪意とそれに対する妄信と集団が及ぼす影響力の大きさと、本書の怖い部分を挙げていけばキリがないのですが、それは本書が優れた小説であることの証左なのだと思います。

 

【満足度】★★★★☆