文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ジェイン・オーステイン『高慢と偏見』

ジェイン・オーステイン 中野康司訳

高慢と偏見』 ちくま文庫

 

ジェイン・オーステイン(1775-1817)の『高慢と偏見』を読了しました。以前に岩波文庫の翻訳で読んだのは学生時代のことなので、今回はかなり久し振りの読み直しととなりました。本書は近代イギリスの長編小説の代表的な作品であり、ユーモアを基調にしながら、いたって普遍的な仕方で男女の心の移り変わりを描いた優れた恋愛小説でもあります。今回の読書でも、NHKの朝ドラを見るような感覚で楽しむことができました。

 

エリザベスやダーシーといった主要登場人物のキャラクター造形が明瞭で、また多くの読者にとっても好もしいものになっていると同時に、脇役たる人物たちの適度なエキセントリックさも物語をうまく盛り上げていて、今から200年以上前に書かれたとは思えないほど、物語のプロットは洗練されています。良くも悪くも欠点の少ない作品だと思うのですが、あらためてその凄みというものも感じられました。

 

【満足度】★★★★★