文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2023-09-16から1日間の記事一覧

シュトルム『みずうみ 他四篇』

シュトルム 関泰祐訳 『みずうみ 他四篇』 岩波文庫 シュトルム(1817-1888)の『みずうみ 他四篇』を読了しました。本書には作家の処女作であるという短編作品「マルテと彼女の時計」、第二作「広間にて」、そして第三作「みずうみ」といった初期の短編作品…

我孫子武丸『裁く眼』

我孫子武丸 『裁く眼』 文春文庫 我孫子武丸の『裁く眼』を読了しました。ハードカバーとして(だったかソフトカバーだったか忘れてしまいましたが、とにかく単行本として)刊行された当時に読んで、その展開や結末についてはほとんど忘れた状態で、このたび…

佐藤友哉『フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人』

佐藤友哉 『フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人』 講談社ノベルス 佐藤友哉の『フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人』を読了しました。第21回メフィスト賞受賞作品で、以前に文庫で読んだ記憶があるのですが、今回はノベルス版で読むこととなりました…

島田荘司『殺人ダイヤルを捜せ』

島田荘司 『殺人ダイヤルを捜せ』 講談社文庫 島田荘司の『殺人ダイヤルを捜せ』を読了しました。物語の主人公が辿ることになる展開には、作者の女性に対する容赦の無さというものが現れているような気がして、少し驚いてしまうと共に眉をしかめさせられてし…

吉村達也『血液型殺人事件』

吉村達也 『血液型殺人事件』 角川文庫 吉村達也の『血液型殺人事件』を読了しました。血液型による性格分析というものをメインのテーマに据えたミステリー小説です。このテーマに対する作者のスタンスというのについて、はっきりとは読み取り切れない部分が…

貴志祐介『ミステリークロック』

貴志祐介 『ミステリークロック』 角川文庫 貴志祐介の『ミステリークロック』を読了しました。ホラー作家として定評のある作者ですが、ミステリー作品を書くとこうした作品が出来上がってくるというのは興味深く思われます。おそらく意図的にしている部分は…

道夫秀介『貘の檻』

道夫秀介 『貘の檻』 新潮文庫 道夫秀介の『貘の檻』を読了しました。作者の作品を読むのは随分と久し振りのような気がします。まとまりの良いミステリー作品ですが、物足りなさを感じる読者もいるのだろうなという印象は残ります。マージナルであることが目…

赤川次郎『銀色のキーホルダー』

赤川次郎 『銀色のキーホルダー』 光文社文庫 赤川次郎の『銀色のキーホルダー』を読了しました。シリーズの11作目で主人公は25歳となっています。本シリーズについては単体の作品というよりは大河小説として読んではいるのですが、ミステリーとしての展開が…

森博嗣『有限と微小のパン』

森博嗣 『有限と微小のパン』 講談社文庫 森博嗣の『有限と微小のパン』を読了しました。S&Mシリーズと称される作品群をあらためてすべて読み返したことになるのですが、本書については以前に読んだときよりも、今回の読書の方が納得させられて感心させら…

『モーパッサン短編集Ⅱ』

モーパッサン 青柳瑞穂訳 『モーパッサン短編集Ⅱ』 新潮文庫 『モーパッサン短編集Ⅱ』を読了しました。全三冊として編集されている新潮文庫のモーパッサン短編選集の二冊目である本書には「都会もの」としてテーマ付けられた作品群が収録されています。 有名…

村上春樹『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』

村上春樹 『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』 新潮文庫 村上春樹の『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』を読了しました。作者の旅行記は好きでよく読んでいたのですが、本書はまったくと言っていいほど記憶に残っておらず、今回あらため…

赤川次郎『招かれた女』

赤川次郎 『招かれた女』 角川文庫 赤川次郎の『招かれた女』を読了しました。ある意味ではこれも作者らしい展開のサスペンス作品で、常に読者の期待を裏切りながら物語が進んでいきます。こうしたプロットや結末の展開をどのように受け止めるかは様々だと思…