シャーウッド・アンダーソン 上岡伸雄訳
シャーウッド・アンダーソン(1876-1941)の『ワインズバーグ、オハイオ』を読了しました。本作の紹介文には「トゥエイン的土着文学から脱却、ヘミングウェイらモダニズム文学への道を拓いた先駆的傑作」とありますが、果たして。今年の7月に新潮文庫から新訳として出版されています。
オハイオ州にある架空の街「ワインズバーグ」を舞台にした群像劇、連作短編集とでもいうべき作品です。新聞記者ジョージ・ウィラードが中心人物とはなっていますが、印象的な人物が「短編」ごとに登場します。「いびつな(grotesque)」人々をそのいびつさのままに描いた点に先駆性があるということなのでしょうか。そのいびつさは誰もが心の底に隠し持っているものと相似形をなしているがゆえに、多くの人の共感(嫌悪とともに)を呼ぶ小説になったのでしょう。
今年も残すところあとわずか。
【満足度】★★★☆☆