文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ミランダ・ジュライ『いちばんここに似合う人』

ミランダ・ジュライ 岸本佐知子

いちばんここに似合う人』 新潮社

 

ミランダ・ジュライ(1974-)の『いちばんここに似合う人』を読了しました。ミランダ・ジュライはパフォーマンスアーティストであり、映画製作者であり女優であり、そして作家でもあるという才能の塊のような人ですが、現代にあっては、そしてこれからはこうした多様な世界で活躍する表現者はどんどん増えてくるのだろうと感じます。果たしてどんなものかと思いながら、初の小説集である本書を手に取りました。

 

本書にはショート・ショートのような極端な短い作品も含む16の短編が収録されていますが、ものすごく単純に分類してしまうと、いわゆるフェチズムの作家というか、生における注目すべき部分とそこに向ける視点に独特のものがあって、そこが読者を惹きつけるポイントになっているような気がします。洗面器を使って老人たちに水泳を教える女性を描いた「水泳チーム」など、映像にすると面白いだろうと思いますし、ひとつのパフォーマンスとしてもユニークです。作家としての彼女の他の作品も読んでみたいと思います。

 

【満足度】★★★★☆