文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

『エドマンド・ウィルソン批評集2 文学』

中村紘一・佐々木徹・若島正

エドマンド・ウィルソン批評集2 文学』 みすず書房

 

エドマンド・ウィルソン批評集2 文学』を読了しました。本書に収録された「ヘンリー・ジェイムズの曖昧性」は、ヘンリー・ジェイムズの『ねじの回転』を対象として家庭教師が見る幽霊はすべて幻覚だったというフロイト流の解釈を示してみせる論考です。さらに、ジェイムズのその他の作品群を縦横無尽に取り上げながら論じ上げてみせるウィルソンの力業を堪能できる批評です。

 

ロシア語を母語とするナボコフプーシキン翻訳を取り上げて批判するなど、怖いもの知らずのウィルソンですが、ナボコフの『アーダ』は最後まで読み通すことができなかったというコメントには少し親近感を覚えるのでした。

 

【満足度】★★★☆☆