文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

舞城王太郎『淵の王』

舞城王太郎

『淵の王』 新潮文庫

 

舞城王太郎の『淵の王』を読了しました。「恐ろしくて切ない最強ホラー長篇」という帯のコピーは内容の面では当を得ていて、本書ではホラー小説でありながら切ない気分にさせられてしまう物語が展開されています。ただ、長篇小説というよりは連作短編集といった趣の作品で、作者のデビュー作から登場する福井県の「西暁町」という架空の町を舞台に、邪悪な存在と各編の主人公との対峙が、主人公を見守る透明な存在によって語られます。面白く読むことができました。

 

【満足度】★★★