文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

アーサー・ミラー『セールスマンの死』

アーサー・ミラー 倉橋健訳

セールスマンの死』 ハヤカワ演劇文庫

 

アーサー・ミラー(1915-2005)の『セールスマンの死』を読了しました。本書はアーサー・ミラーの代表的な戯曲作品でピュリッツァー賞受賞作です。作者の作品を読むのは私にとって初めてのことで、ついでにいえば、ハヤカワ演劇文庫を手に取るのも今回が初めてなのではないかと思います。

 

「二幕と鎮魂曲からなるある私的な会話」という副題が添えられた本作では、働き盛りを過ぎたセールスマンであるウイリーを主人公に据えて、時制や場所を自由に行き来しながら、家族との関係性やウイリー自身のこれまでの人生の来し方を描き、タイトルであからさまに表現されている行く末に至るまでの姿が読者に(観客に)示されます。1949年に発表された本作は、時代性を背負いながらも同時に一定の普遍性を獲得していて、現代においてもよき演出家のもとで演じられれば、アクチュアルな演劇として私たちに立ち現れてくるのではないかと思います。

 

【満足度】★★★☆☆