文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ウィリアム・シェイクスピア『ヘンリー六世 第一部』

ウィリアム・シェイクスピア 小田島雄志

『ヘンリー六世 第一部』 白水Uブックス

 

ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)の『ヘンリー六世 第一部』を読了しました。「第一部」とありますが、本書の解説によれば、「第二部」や「第三部」よりも前に書かれたものなのか、あるいは後に書かれたものなのか、諸説があるようです。ヘンリー六世三部作においては、15世紀のイングランド王であるヘンリー六世の治世を舞台とした歴史劇が繰り広げられるのですが、本作においては、後年の薔薇戦争に至る以前の時代が描かれます。

 

「乙女ジャンヌ」と登場人物表に表されるジャンヌ・ダルクの活躍と敗残とが印象的に描かれる一方で、いがみ合う諸侯の姿は権謀術数というには程遠い小競り合いのようなものとして表現されている印象です。いずれにしても、歴史的知識を背景にしてこそ初めて楽しむことができる種類の作品だと感じます。

 

【満足度】★★★☆☆