文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

『大江健三郎自選短篇』

大江健三郎自選短篇』 岩波文庫

 

大江健三郎自選短篇』を読了しました。ほとんどの作品は再読なのですが、大江氏の処女作から90年代に発表された「後期」の作品まで、すべての収録作品に加筆修訂が施されているとのことで、本書の帯にあるようにまさに氏の短編の「最終形」を読んだということになります。

 

初期短編を読んだときに覚えた鮮烈な感情が蘇ってくることはありませんでしたが、作者自身とその家族を思わせる(というよりも正にそのものの)登場人物の日常を綴った私小説である中期の連作短編作品の方に静かなかたちで心を動かされます。

 

【満足度】★★★☆☆