文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

鈴木貴之編著『実験哲学入門』

鈴木貴之編著

『実験哲学入門』 勁草書房

 

鈴木貴之編著『実験哲学入門』を読了しました。哲学という営みにおいて行われてきた概念分析においては、哲学者が様々な概念の内実を明らかにするために、自身(たち)の「直観」への適合性を問題にしてきたのですが、その直観が意味するところのものを経験的に明らかにしようという試みが「実験哲学」であると言ってよいでしょう。

 

本書では、知識、言語、自由意志、行為、そして道徳などの各テーマにおいて、主として2000年代以降に展開されてきた実験哲学の営みがコンパクトに紹介されています。また社会心理学者という「隣人」から見た実験哲学の姿も素描されていて、興味深く読むことができました。経験的な科学へと接近していく哲学という学問において、今後は様々な「共同研究」が進んでいくことで、より豊かな学問的結実が生まれるのではないでしょうか。

 

【満足度】★★★★☆