文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

A・デュマ『ダルタニャン物語』

A・デュマ 鈴木力衛

『ダルタニャン物語』 ブッキング

 

アレクサンドル・デュマ・ペール(1802-1870)の『ダルタニャン物語』を読了しました。日本でもつとに有名な『三銃士』(1844)を嚆矢として、『二十年後』(1845)、そして『ブラジュロンヌ子爵』(1851)と続く三部作として17世紀フランスを舞台に描かれた歴史活劇です。デュマ・ペール一人の作品というよりは、実質的には歴史教師オーギュスト・マケとの共作であるとされています。

 

主人公ダルタニャンと「三銃士」であるアトス、ポルトス、アラミスの出会いから始まって、フランスやイギリスの宮廷政治を背景に友情と死と策謀が紡がれる壮大な物語は読み応え十分です。読み始めたのは1年前頃だったかと思うのですが、三部作を読み終わるのにそれだけの時間がかかってしまいました。『二十年後』でのモードントとの対決シーンなど印象に残る場面も多かったのですが、『ブラジュロンヌ子爵』を読み進める頃には若干プロットの冴えも失われてきたように思います。とはいえ、これだけ長大な作品を飽きさせることなく読ませるだけの筆力が作品からは感じられました。

 

息子であるデュマ・フィスの『椿姫』の読後感が私にとって疑問符のつくものだったことも遠因となって、あまり期待せずに読み始めたのですが、期待以上には楽しむことができた読書体験となりました。

 

【満足度】★★★★☆