ヘニング・マンケル 柳沢由実子訳
『背後の足音』 創元推理文庫
ヘニング・マンケル(1948-2015)の『背後の足音』を読了しました。刑事ヴァランダーを主人公とするシリーズ小説の第七作目にあたる本書は、本国スウェーデンでは1997年に刊行されています。私自身は“福祉の充実した戦争とは無縁の平和な国”という漠然とした印象を持っていたスウェーデンですが、本シリーズ作品を通じて、その認識はあまりにも無垢に過ぎることに気付かされます。
犯罪者との対峙だけではなく、体調の不安や自分のキャリアに関する疑念(この部分は本書ではいくらか薄まっていると思いますが)いわゆるミッドライフクライシスと闘う主人公ヴァランダーの姿には身につまされるものがありました。本シリーズも短編作品数を含めて未読の作品は残り五作品となりましたが、一通り最後まで読んでみたいと考えています。
【満足度】★★★☆☆