文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

シェイクスピア『ヴェニスの商人』

シェイクスピア 福田恆存

ヴェニスの商人』 新潮文庫

 

シェイクスピア(1564-1616)の『ヴェニスの商人』を読了しました。岩波文庫白水Uブックスちくま文庫のそれぞれの訳で読んだ作品で、言わずと知れた喜劇の傑作なのですが、今回の読書で印象に残ったのは指輪を巡るエピソードでした。本作を何度読んでみてもこの指輪のエピソードをどのように解してよいのか、読後にもやもやとした気持ちが胸に残ります。友情と愛情とを天秤にかける心情を喜劇を構成する一つの挿話としてカジュアルに受け止めておけばよいのかとは思いながら、どこか納得がいかない部分があって、これも文学の優れた効能の一つということなのでしょうが。

 

【満足度】★★★☆☆