文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

日本文学

村上春樹/佐々木マキ『羊男のクリスマス』

村上春樹/佐々木マキ 『羊男のクリスマス』 講談社文庫 村上春樹/佐々木マキの『羊男のクリスマス』を読了しました。内容としては単なる与太話に近いものがあって、取り立てて言うべきことはないのですが。 【満足度】★★★☆☆

我孫子武丸『殺戮に至る病』

我孫子武丸 『殺戮に至る病』 講談社文庫 我孫子武丸の『殺戮に至る病』を読了しました。言わずと知れた新本格ミステリーの有名作品なのですが、あらためて読み返してみてもよく出来た小説だと感じられます。 【満足度】★★★☆☆

吉村達也『観音信仰殺人事件』

吉村達也 『観音信仰殺人事件』 徳間文庫 吉村達也の『観音信仰殺人事件』を読了しました。以前にノベルス版で読んだときにも冒頭に付されたカラー写真に潜むトリックを見つけて喜んだような記憶があります。現代の読者はこれをどのように感じるのか、少し聞…

佐藤友哉『エナメルを塗った魂の比重 鏡稜子ときせかえ密室』

佐藤友哉 『エナメルを塗った魂の比重 鏡稜子ときせかえ密室』 講談社ノベルス 佐藤友哉の『エナメルを塗った魂の比重 鏡稜子ときせかえ密室』を読了しました。以前に文庫版で読んだような記憶はあるのですが、内容はまったく覚えておらず、今回運版は逆には…

赤川次郎『三毛猫ホームズの登山列車』

赤川次郎 『三毛猫ホームズの登山列車』 角川文庫 赤川次郎の『三毛猫ホームズの登山列車』を読了しました。ヨーロッパ篇の最後を飾る長篇小説ですが、作者の本格ミステリーへのこだわりのようなものが感じられるトリックを含めて、ミステリー度の高い作品に…

森博嗣『人形式モナリザ』

森博嗣 『人形式モナリザ』 講談社文庫 森博嗣の『人形式モナリザ』を読了しました。作者の美意識やミステリー観にどこまで共感できるかによって、本書に対する感想は変わってくるのかもしれません(本書に限らず、読書とはすべからくそういうものかもしれま…

清涼院流水『パーフェクト・ワールド What a perfect world! Book.5』

清涼院流水 『パーフェクト・ワールド What a perfect world! Book.5』 講談社 清涼院流水の『パーフェクト・ワールド What a perfect world! Book.5』を読了しました。楽しく読み進めているのですが、ティーンエージャーの頃に読んでいればまた熱中度も違っ…

島田荘司『Classical Fantasy Within 第六話 アル・ヴァジャイヴ戦記 ポルタトーリの壷』

島田荘司 『Classical Fantasy Within 第六話 アル・ヴァジャイヴ戦記 ポルタトーリの壷』 講談社 島田荘司の『Classical Fantasy Within 第六話 アル・ヴァジャイヴ戦記 ポルタトーリの壷』を読了しました。物語の展開としては、本シリーズ第二部である「ア…

大沢在昌『新宿鮫Ⅱ 毒猿』

大沢在昌 『新宿鮫Ⅱ 毒猿』 光文社文庫 大沢在昌の『新宿鮫Ⅱ 毒猿』を読了しました。人気シリーズ作品の第二作目で、存在感のある敵役を配した王道ともいえるプロットが敷かれています。いかにも第二作目といった感じの作品といえばいいでしょうか。 【満足…

吉村達也『鳥取砂丘の青い風』

吉村達也 『鳥取砂丘の青い風』 実業之日本社文庫 吉村達也の『鳥取砂丘の青い風』を読了しました。「レイルロード小説」と銘打たれた作品で、鉄道を舞台にした(レイル)ロードムービーならぬ「ロードノベル」という趣向から生まれた企画のようです。サラリ…

有栖川有栖『怪しい店』

有栖川有栖 『怪しい店』 角川文庫 有栖川有栖の『怪しい店』を読了しました。ハードカバーの刊行時に読んだことがあるはずなのですが、内容についてはまるで覚えていない状態での再読となりました。いささか地味ではあるのですが、作者らしいミステリー作品…

宗田理『ぼくらの大脱走』

宗田理 『ぼくらの大脱走』 角川文庫 宗田理の『ぼくらの大脱走』を読了しました。「ぼくら」を主人公とするシリーズもいわゆる「高校編」に突入して、現実の事件をモチーフにしながらも絶妙にファンタジックな設定のもとで、仲間を助けるためのぼくらの冒険…

川端裕人『ギャングエイジ』

川端裕人 『ギャングエイジ』 PHP文芸文庫 川端裕人の『ギャングエイジ』を読了しました。小学校を舞台に新米教師の瑞々しい苦闘を描いた小説です。PTAに関する著作も上梓している作者のことで、よくよく学校現場を取材して書いたのだろうということがよく感…

吉村達也『修善寺温泉殺人事件』

吉村達也 『修善寺温泉殺人事件』 ケイブンシャ文庫 吉村達也の『修善寺温泉殺人事件』を読了しました。テーマや探偵役の設定など面白い部分もあるのですが、ミステリーとしての出来栄えはといえば、並みの作品と言わざるを得ないのかなというのが正直な感想…

吉村達也『京都天使突抜通の恋』

吉村達也 『京都天使突抜通の恋』 集英社文庫 吉村達也の『京都天使突抜通の恋』を読了しました。作者自身が「心理サスペンス」と名付けた作品群の中では最初期に発表されたもので、渾身の力作という印象の作品です。最後まで面白く読むことができました。 …

新田次郎『劒岳〈点の記〉』

新田次郎 『劒岳〈点の記〉』 文春文庫 新田次郎の『劒岳〈点の記〉』を読了しました。山岳小説のパイオニアである作者の代表作といえる作品のひとつで、2009年には映画化もされた実話をもとにした小説です。いささか地味に感じられる部分がいかにも史実であ…

島田荘司『網走発遙かなり』

島田荘司 『網走発遙かなり』 講談社文庫 島田荘司の『網走発遙かなり』を読了しました。長篇小説なのですが、構成としては連作短編集といった趣もあって、作者のキャリア初期の力作といえる作品です。もう少し注目されても良いと思われる作品ではあるのです…

村上春樹『海辺のカフカ』

村上春樹 『海辺のカフカ』 新潮文庫 村上春樹の『海辺のカフカ』を読了しました。随分と久し振りの読み返すことになりましたが、物語の展開など比較的細部に至るまで記憶に残っていて、今回は長い物語の全体を成す骨格の部分に注意しながら読み進めていく読…

貴志祐介『コロッサスの鉤爪』

貴志祐介 『コロッサスの鉤爪』 角川文庫 貴志祐介の『コロッサスの鉤爪』を読了しました。もともとは『ミステリークロック』と合わせて一冊の短編集として上梓されていたものが、文庫化にあたって分冊されたとのことですが、昨今の書籍の値段の高騰具合も踏…

我孫子武丸『人形は眠れない』

我孫子武丸 『人形は眠れない』 講談社文庫 我孫子武丸の『人形は眠れない』を読了しました。シリーズ三作目に当たる本書は「短編の面白さを兼ね備えた長編」を目指したものであると作者自身によって述べられているのですが、その狙い自体が面白く、いわゆる…

舞城王太郎『されど私の可愛い檸檬』

舞城王太郎 『されど私の可愛い檸檬』 講談社文庫 舞城王太郎の『されど私の可愛い檸檬』を読了しました。三篇の作品が収録された短編集で「理不尽で面倒だけれども愛するしかない戦慄含みの家族小説集」という裏表紙カバーに書かれた作品紹介が的を射ていて…

斜線堂有紀『キネマ探偵カレイドミステリー~輪転不変のフォールアウト~』

斜線堂有紀 『キネマ探偵カレイドミステリー~輪転不変のフォールアウト~』 メディアワークス文庫 斜線堂有紀の『キネマ探偵カレイドミステリー~輪転不変のフォールアウト~』を読了しました。シリーズの完結篇というべき作品で、フィクションというものに…

大沢在昌『新宿鮫』

大沢在昌 『新宿鮫』 光文社文庫 大沢在昌の『新宿鮫』を読了しました。人気シリーズの原点となる作品で、緊密なプロットでクライマックスに至るまで盛り上がりを欠くことなく読ませます。よくできたハードボイルド作品なのですが、あらためて読み返してみて…

吉村達也『OL捜査網』

吉村達也 『OL捜査網』 光文社文庫 吉村達也の『OL捜査網』を読了しました。「OL」という表現自体が何とも古めかしいものとなってしまった現代にあっては、いささか古さが目立つ部分はあるものの、設定とプロットの面白さで読ませる作品になっています…

貴志祐介『天使の囀り』

貴志祐介 『天使の囀り』 角川ホラー文庫 貴志祐介の『天使の囀り』を読了しました。作者の初期作品といっていい時代の作品なのですが、怖さよりも生理的な嫌悪感の方が上回ってしまって、読み進めるのにいささか苦労してしまいます。登場人物を容赦なく扱っ…

清涼院流水『パーフェクト・ワールド What a perfect world! Book.4』

清涼院流水 『パーフェクト・ワールド What a perfect world! Book.4』 講談社 清涼院流水の『パーフェクト・ワールド What a perfect world! Book.4』を読了しました。ぶつ切りに読み進めてしまうかたちになっているのですが、ストーリー自体はシンプルに進…

吉村達也『トンネル』

吉村達也 『トンネル』 角川ホラー文庫 吉村達也の『トンネル』を読了しました。探偵役の造形もホラー小説としての展開も、とても面白そうでいて、いささか最後は尻すぼみになってしまう部分もあって、何とも中途半端な印象が残ってしまいます。 【満足度】★…

吉村達也『丸の内殺人物語』

吉村達也 『丸の内殺人物語』 角川文庫 吉村達也の『丸の内殺人物語』を読了しました。サラリーマンを主人公としたミステリー短編集で、もともとは『それは経費で落とそう』というタイトルで刊行されていた作品が文庫化にあたって改題されたものです(もとも…

島田荘司『Classical Fantasy Within 第五話 アル・ヴァジャイヴ戦記 ヒュッレム姫の救出』

島田荘司 『Classical Fantasy Within 第五話 アル・ヴァジャイヴ戦記 ヒュッレム姫の救出』 講談社 島田荘司の『Classical Fantasy Within 第五話 アル・ヴァジャイヴ戦記 ヒュッレム姫の救出』を読了しました。ファンタジー作品に挑戦しながらも、ところど…

吉村達也『天井桟敷の貴婦人』

吉村達也 『天井桟敷の貴婦人』 徳間文庫 吉村達也の『天井桟敷の貴婦人』を読了しました。作者にしては珍しい探偵による一人称視点での小説となっていて、新鮮な感覚で読むことができました。このような小説形式が採用されるに至った経緯についてもフィクシ…