文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

フランス文学

エドモン・ロスタン『シラノ・ド・ベルジュラック』

エドモン・ロスタン 辰野隆・鈴木信太郎訳 『シラノ・ド・ベルジュラック』 岩波文庫 エドモン・ロスタン(1868-1918)の『シラノ・ド・ベルジュラック』を読了しました。パリ中を興奮させたといわれる初演から始まって、世界各国で繰り返し上演されている大…

シャルル・ペロー『眠れる森の美女』

シャルル・ペロー 村松潔訳 『眠れる森の美女』 新潮文庫 シャルル・ペロー(1628-1703)の『眠れる森の美女』を読了しました。表題作である「眠れる森の美女」、「赤頭巾ちゃん」、「青ひげ」、「サンドリヨンまたは小さなガラスの靴」(シンデレラ)など、…

エミール・ゾラ『ジェルミナール』

エミール・ゾラ 安士正夫訳 『ジェルミナール』 岩波文庫 エミール・ゾラ(1840-1902)の『ジェルミナール』を読了しました。ゾラの「ルーゴン・マッカール叢書」の一冊である作品で、『居酒屋』、『ナナ』、『獣人』に続いて私が読むのは本作で四冊目となり…

コクトー『恐るべき子供たち』

コクトー 中条省平・中条志穂訳 『恐るべき子供たち』 光文社古典新訳文庫 ジャン・コクトー(1889-1963)の『恐るべき子供たち』を読了しました。フランスの詩人であり作家であるコクトーの書いた「アンファン・テリブル」は、中学生か高校生の頃だったか、…

ロブ=グリエ『消しゴム』

ロブ=グリエ 中条省平訳 『消しゴム』 光文社古典新訳文庫 ロブ=グリエ(1922-2008)の『消しゴム』を読了しました。戦後フランスの文学運動「ヌーヴォー・ロマン」の旗手であるロブ=グリエの初長編作品です。丁寧な訳者解説と相まって、ヌーヴォー・ロマン…

ギュスターヴ・フローベール『ボヴァリー夫人』

ギュスターヴ・フローベール 芳川泰久訳 『ボヴァリー夫人』 新潮文庫 ギュスターヴ・フローベール(1821-1880)の『ボヴァリー夫人』を読了しました。大学時代に読んだのは、たしか岩波文庫の翻訳だったと思うのですが、今回は新潮文庫スタークラシックスの…

コレット『青い麦』

コレット 河野万里子訳 『青い麦』 光文社古典新訳文庫 コレット(1873-1954)の『青い麦』を読了しました。性の解放を謳って、その作品のみならず、私生活においてもそのテーゼを体現したかのようなシドニー=ガブリエル・コレットですが、その代表作のひと…

アゴタ・クリストフ『第三の嘘』

アゴタ・クリストフ 堀茂樹訳 『第三の嘘』 ハヤカワ文庫 アゴタ・クリストフ(1935-2011)の『第三の嘘』を読了しました。『悪童日記』と『ふたりの証拠』とあわせて三部作を成している作品です。本書の原題は“Le Troisième Mensonge”で『第三の嘘』という…

エミール・ゾラ『獣人』

エミール・ゾラ 川口篤訳 『獣人』 岩波文庫 エミール・ゾラ(1840-1902)の『獣人』を読了しました。この岩波文庫の翻訳は初版が1953年の出版で、旧字体で書かれています。2018年春の復刊で6刷目のようです。全20作からなるというルーゴン・マッカール叢書…

アンドレ・ジイド『狭き門』

アンドレ・ジイド 川口篤訳 『狭き門』 岩波文庫 アンドレ・ジイド(1869-1951)の『狭き門』を読了しました(「ジッド」という表記の方に馴染みがあるのですが、ここでは本書の表記に従って「ジイド」としています)。高校時代だったか大学時代だったかは忘…

サン=テグジュペリ『夜間飛行』

サン=テグジュペリ 堀口大學訳 『夜間飛行』 新潮文庫 サン=テグジュペリ(1900-1944)の『夜間飛行』を読了しました。高校時代に読んで以来の再読です。本書には『夜間飛行』に加えてサン=テグジュペリの処女作でもある『南方郵便機』が収録されています。…

ミシェル・ウエルベック『素粒子』

ミシェル・ウエルベック 野崎歓訳 『素粒子』 ちくま文庫 ミシェル・ウエルベック(1958-)の『素粒子』を読了しました。ミシェル・ウエルベックはインド洋マダガスカル島の東に位置するフランス領の孤島レユニオンの出身ですが、両親の育児放棄により、6歳…

フランソワーズ・サガン『悲しみよ こんにちは』

フランソワーズ・サガン 河野万里子訳 『悲しみよ こんにちは』 新潮文庫 フランソワーズ・サガン(1935-2004)の『悲しみよ こんにちは』を読了しました。高校時代に読んだ記憶があるのですが、今回は新訳での読み直し。多くの人に影響を与えた作品だと思い…

ル・クレジオ『心は燃える』

ル・クレジオ 中地義和・鈴木雅生訳 『心は燃える』 作品社 ル・クレジオ(1940-)の『心は燃える』を読了しました。本書はフランスのノーベル賞作家であるル・クレジオの中短編集で、2000年にフランスで刊行され、2017年に日本語で全訳が出版されています。…

ジュール・ルナール『にんじん』

ジュール・ルナール 高野優訳 『にんじん』 新潮文庫 ジュール・ルナール(1864-1910)の『にんじん』を読了しました。ジュール・ルナールの作品を読むのは初めてのことで、本書についても以前からタイトルは知っていたものの、手に取ることはありませんでし…

デュマ・フィス『椿姫』

デュマ・フィス 西永良成訳 『椿姫』 角川文庫 アレクサンドル・デュマ・フィス(1824-1895)の『椿姫』を読了しました。『モンテ・クリスト伯』や『三銃士』の著者として知られるアレクサンドル・デュマの息子だから「デュマ・フィス」。お父さんの方は「デ…

ボリス・ヴィアン『お前らの墓につばを吐いてやる』

ボリス・ヴィアン 鈴木創士訳 『お前らの墓につばを吐いてやる』 河出文庫 ボリス・ヴィアン(1920-1959)の『お前らの墓につばを吐いてやる』を読了しました。『日々の泡』を読んだのは、高校時代だったかあるいは大学時代だったのかはっきりとは覚えていな…

パトリック・モディアノ『パリ環状通り』

パトリック・モディアノ 野村圭介訳 『パリ環状通り』 講談社 パトリック・モディアノ(1945-)の『パリ環状通り』を読了しました。2014年のノーベル文学賞を受賞したモディアノさんの作品を読むのは初めてのこと。本作は彼のキャリアの中でも初期の作品で、…

アンドレ・ブルトン『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』

アンドレ・ブルトン 巌谷國士訳 『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』 岩波文庫 アンドレ・ブルトン(1896-1966)の『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』を読了しました。何となく読んでいた気になっていながら、今まできちんと読んだことはなかった作品でした…

モーパッサン『ベラミ』

モーパッサン 中村佳子訳 『ベラミ』 角川文庫 モーパッサン(1850-1893)の第二長編である『ベラミ』を読了しました。本書のタイトルになっている「ベラミ」とは「bel ami」つまり「美しいひと」という意味で、本書の主人公である美青年デュロワに対して、…

アゴタ・クリストフ『ふたりの証拠』

アゴタ・クリストフ 堀茂樹訳 『ふたりの証拠』 ハヤカワ文庫 アゴタ・クリストフ(1935-2011)はハンガリー出身でスイスに移り住んだ後、フランス語で小説を書いたそうです。そしてその第一作目『悪童日記』(フランス語の原題は“Le garnd cahier”で『大き…

ゾラ『ナナ』

ゾラ 川口篤・古賀照一訳 『ナナ』 新潮文庫 19世紀後半に活躍したフランスの作家・ゾラ(1840-1902)の『ナナ』を読了。以前にゾラの『居酒屋』を読んで、公衆浴場だったか洗濯場だったか、裸同士の女性が殴り合いの喧嘩をする場面の描写を読んで、それまで…

ユゴー『ノートル=ダム・ド・パリ』

ユゴー 辻昶・松下和則訳 『ノートル=ダム・ド・パリ』 岩波文庫 フランス・ロマン主義を代表する作家であるヴィクトル・ユゴーの作品。昔々、赤川次郎の三毛猫ホームズシリーズのどの作品だったかで、本書に登場するカジモドの名にちなんだ「梶本」(梶元だ…

スタンダール『パルムの僧院』

スタンダール 生島遼一訳 『パルムの僧院』 岩波文庫 東京出張中に移動の新幹線やホテルで読んでいた本。スタンダールを読むのは学生時代に読んだ『赤と黒』以来のこと。あまり予備知識なく取り掛かったので、読み始めたときは戦争の描写に面白さを感じなが…

モーパッサン『女の一生』

モーパッサン 新庄嘉章訳 『女の一生』 新潮文庫 モーパッサンは昔『脂肪のかたまり』を読んで、よくできた小説だなぁと感心した覚えがあるのですが、この『女の一生』については何となく今日まで読むことがないまま時間が過ぎてしまいました。タイトルがそ…