文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

英米文学

アンナ・カヴァン『アサイラム・ピース』

アンナ・カヴァン 山田和子訳 『アサイラム・ピース』 ちくま文庫 アンナ・カヴァン(1901-1968)の『アサイラム・ピース』を読了しました。彼女の作品を読むのは『氷』に引き続いてのことです。本書はやや長めの短編作品である表題作と、文字通りの短編13篇…

Ian McEwan "The Cockroach"

Ian McEwan "The Cockroach" Jonathan CapeIan McEwanの "The Cockroach"を読了しました。今となっては遠い昔のことのようにも思われますが、ヨーロッパ旅行の際にドイツの空港で機内での暇つぶしのために購入して、そのまま少しずつ読み進めていたのが本書…

ウラジーミル・ナボコフ『淡い焰』

ウラジーミル・ナボコフ 森慎一郎訳 『淡い焰』 作品社 ウラジーミル・ナボコフ(1899-1977)の『淡い焰』を読了しました。本書の原題は“Pale Fire”で、かつては『青白い炎』という邦題で刊行されていましたが、この森氏による新訳ではより現代に近いニュア…

ヘミングウェイ『勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪 ―ヘミングウェイ全短編2―』

ヘミングウェイ 高見浩訳 『勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪 ―ヘミングウェイ全短編2―』 新潮文庫 ヘミングウェイ(1899-1961)の『勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪 ―ヘミングウェイ全短編2―』を読了しました。1928年にパリからフロリダ半島沖に…

スティーヴン・キング『グリーン・マイル』

スティーヴン・キング 白石朗訳 『グリーン・マイル』 新潮文庫 スティーヴン・キング(1947-)の『グリーン・マイル』を読了しました。刊行当時、また映画化されたときにも大きな話題になりましたが、ベストセラー作家・キングの人気作品のひとつです。何と…

アンナ・カヴァン『氷』

アンナ・カヴァン 山田和子訳 『氷』 ちくま文庫 アンナ・カヴァン(1901-1968)の『氷』を読了しました。バラードやオールディスといった、いわゆる「ニューウェーブ」のSF作家として位置づけられることの多いアンナ・カヴァンですが、近年その邦訳作品の刊…

フィッツジェラルド『バビロン再訪 フィッツジェラルド短編集』

フィッツジェラルド 沼澤洽治訳 『バビロン再訪 フィッツジェラルド短編集』 集英社文庫 フィッツジェラルド(1896-1940)の『バビロン再訪 フィッツジェラルド短編集』を読了しました。本編に収録された三作品のいずれもが、岩波文庫のフィッツジェラルド短…

V. S. ナイポール『ミゲル・ストリート』

V. S. ナイポール 小沢自然・小野正嗣訳 『ミゲル・ストリート』 岩波文庫 V. S. ナイポール(1932-2018)の『ミゲル・ストリート』を読了しました。当時はイギリス領であった現在のトリニダード・トバゴに生まれ、オックスフォード大学で学んだ後に作家とな…

アップダイク『カップルズ』

アップダイク 宮本陽吉訳 『カップルズ』 新潮文庫 アップダイク(1932-2009)の『カップルズ』を読了しました。その名前の通り10組の夫婦(カップルズ)が登場して、不倫や夫婦交換などに明け暮れる日々が描かれています。ケネディ大統領暗殺という時代を画…

アリ・スミス『両方になる』

アリ・スミス 木原善彦訳 『両方になる』 新潮社 アリ・スミス(1962-)の『両方になる』を読了しました。現代イギリスを代表する作家の一人とされるアリ・スミスですが、作品を読むのは初めてのことです。本書の訳者でもある木原氏の書いた『実験する小説た…

コーマック・マッカーシー『血と暴力の国』

コーマック・マッカーシー 黒原敏行訳 『血と暴力の国』 扶桑社ミステリー コーマック・マッカーシー(1933-)の『血と暴力の国』を読了しました。国境三部作の完結から7年後の2005年に発表された“No Country for Old Men”の邦訳です。メインストリームの文…

ウィリアム・シェイクスピア『リチャード二世』

ウィリアム・シェイクスピア 小田島雄訳 『リチャード二世』 白水Uブックス ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)の『リチャード二世』を読了しました。白水Uブックスのシェイクスピア全集は本文に注釈のないシンプルなつくりが特徴で、劇の流れをその…

『カート・ヴォネガット全短編 2 バーンハウス効果に関する報告書』

大森望 監修・浅倉久志 他 訳 『カート・ヴォネガット全短編 2 バーンハウス効果に関する報告書』 早川書房 『カート・ヴォネガット全短編 2 バーンハウス効果に関する報告書』を読了しました。早川書房から刊行されている短編全集の第二巻です。本書には、…

ミランダ・ジュライ『最初の悪い男』

ミランダ・ジュライ 岸本佐知子訳 『最初の悪い男』 新潮社 ミランダ・ジュライ(1974-)の『最初の悪い男』を読了しました。ジュライ初となる長編小説作品です。自ら充足したルールに従って生きる中年女性と、その家に転がり込んでくる若く無軌道な娘。その…

ヴァージニア・ウルフ『波』

ヴァージニア・ウルフ 川本静子訳 『波』 みすず書房 ヴァージニア・ウルフ(1882-1941)の『波』を読了しました。古本市で購入した「ヴァージニア・ウルフ コレクション」の読書も五冊目となりました。本書『波』(1931)は『ダロウェイ夫人』(1925)や『…

ジョン・アップダイク『アップダイクと私』

ジョン・アップダイク 若島正編訳・森慎一郎訳 『アップダイクと私』 河出書房新社 ジョン・アップダイク(1932-2009)の『アップダイクと私』を読了しました。本書はアップダイクの著した数多くのエッセイや評論集の中から、独自にセレクトされて編まれた作…

ドリス・レッシング『破壊者ベンの誕生』

ドリス・レッシング 上田和夫訳 『破壊者ベンの誕生』 新潮文庫 ドリス・レッシング(1919-2013)の『破壊者ベンの誕生』を読了しました。ノーベル賞作家のレッシングですが、日本では入手しやすい翻訳作品が少ないような気がします。いかめしいタイトルを付…

『対訳 フロスト詩集―アメリカ詩人選(4)』

川本皓嗣編 『対訳 フロスト詩集―アメリカ詩人選(4)』 岩波文庫 アメリカの詩人、ロバート・フロストの対訳詩集です。アメリカの国民詩人と評されるフロストですが、私にとっては今までは馴染みのなかった詩人でした(もともと詩をを読むことがほとんどな…

スティーヴン・ミルハウザー『ナイフ投げ師』

スティーヴン・ミルハウザー 柴田元幸訳 『ナイフ投げ師』 白水社 スティーヴン・ミルハウザー(1943-)の『ナイフ投げ師』を読了しました。12編の短編が収められた本書ですが、原書は1998年に刊行されています。柴田氏の翻訳で、日本でも人気の高いミルハウ…

イアン・マキューアン『憂鬱な10か月』

イアン・マキューアン 村松潔訳 『憂鬱な10か月』 新潮社 イアン・マキューアン(1948-)の『憂鬱な10か月』を読了しました。本書の原題は“Nutshell”で、直訳すると「胡桃の殻」の意です。これは本書のストーリーのモチーフとなり、巻頭のエピグラフでも引用…

M・オンダーチェ『イギリス人の患者』

M・オンダーチェ 土屋政雄訳 『イギリス人の患者』 新潮社 M・オンダーチェ(1943-)の『イギリス人の患者』を読了しました。オンダーチェは、英連邦王国セイロン(現在のスリランカに位置していた国)に生まれ、11歳でイギリスに移住した後、カナダの大学で…

J・M・クッツェー『世界文学論集』

J・M・クッツェー 田尻芳樹訳 『世界文学論集』 みすず書房 J・M・クッツェー(1940-)の『世界文学論集』を読了しました。作家と並行して文学研究者としてのキャリアも積んでいるクッツェーは数冊の評論集を出版しており、それら評論集から独自にセレクトさ…

リチャード・パワーズ『舞踏会へ向かう三人の農夫』

リチャード・パワーズ 柴田元幸 『舞踏会へ向かう三人の農夫』 河出文庫 リチャード・パワーズ(1957-)の『舞踏会へ向かう三人の農夫』を読了しました。現代アメリカを代表する作家パワーズですが、本書は彼のデビュー作で1985年に出版されました。訳者あと…

ローレン・グロフ『運命と復讐』

ローレン・グロフ 光野多恵子訳 『運命と復讐』 新潮社 ローレン・グロフ(1978-)の『運命と復讐』を読了しました。ニューヨーク生まれの作家というグロフの三番目の長編作品である本書は、全米図書賞、そして全米批評家協会賞の候補となった話題作です。 …

『カート・ヴォネガット全短編 1 バターより銃』

大森望 監修・浅倉久志 他 訳 『カート・ヴォネガット全短編 1 バターより銃』 早川書房 『カート・ヴォネガット全短編 1 バターより銃』を読了しました。SF作家というジャンルの枠組みを超えて(もはやそうしたジャンル分け自体があまり意味をなさないもの…

イアン・マキューアン『愛の続き』

イアン・マキューアン 小山太一訳 『愛の続き』 新潮文庫 イアン・マキューアンの『愛の続き』を読了しました。本書は新潮クレストブックスで出版された後に文庫本になったもので、ブッカー賞を受賞した『アムステルダム』に続いて新潮文庫に収められていま…

エリザベス・ストラウト『オリーヴ・キタリッジの生活』

エリザベス・ストラウト 小川高義訳 『オリーヴ・キタリッジの生活』 ハヤカワ文庫 エリザベス・ストラウト(1956-)の『オリーヴ・キタリッジの生活』を読了しました。本書は2009年度のピュリッツァー賞受賞作で、オリーヴ・キタリッジという元教師の女性を…

ブライアン・エヴンソン『ウインドアイ』

ブライアン・エヴンソン 柴田元幸訳 『ウインドアイ』 新潮社 ブライアン・エヴンソン(1966-)の『ウインドアイ』を読了しました。本書と同じく新潮クレストブックスから出版されている『遁走状態』を読んだときは、どことなくパッとしない印象だったエヴン…

ジェイムズ・ディッキー『救い出される』

ジェイムズ・ディッキー 酒本雅之訳 『救い出される』 新潮文庫 ジェイムズ・ディッキー(1923-1997)の『救い出される』を読了しました。村上柴田翻訳堂の企画で復刊された一冊です。原題は“Deliverance”で1971年に日本で翻訳出版されたときには『わが心の…

W・サローヤン『パパ・ユーア クレイジー』

W・サローヤン 伊丹十三訳 『パパ・ユーア クレイジー』 新潮文庫 W・サローヤン(1908-1981)の『パパ・ユーア クレイジー』を読了しました。本書は昭和63年発行の新潮文庫で、ピンク色の背表紙に懐かしさを覚えます。「今月の新刊」と書かれた帯には「想像…